中耳炎の漢方での治療

漢方の治療方針

漢方の治療方針過去6ヶ月以内に3回以上、12カ月以内に4回以上の急性中耳炎にかかってしまうことを反復性中耳炎といいます。これらの治療に関しては抗菌薬で治療することが一般的ではありますが罹患頻度が高いと抗生剤をずっと飲んでいることになってしまいます。

また、頻度が多く重篤な場合には鼓膜チューブ留置術を選択せざるを得ない状況になることもあります。このように急性中耳炎や反復性中耳炎にあるリスクファクターとしては2歳未満であること、集団保育環境下にいることと言われています。保育園などに通園しているお子さんはとくに中耳炎になる頻度も高く、お母さんたちの保護者の負担増大にもつながります。

患者さん自身の免疫を上げて中耳炎になりづらくする治療のひとつとして、漢方薬を使用することができます。

 

使用する漢方薬

使用する漢方薬当院でも反復性中耳炎に対して、十全大補湯を使用することを推奨しています。十全大補湯は人参、黄耆などの滋養強壮、免疫力賦活作用をもつ生薬を含んでおり代表的な補剤です。

一般的に十全大補湯の適応としては病後の体力低下、疲労倦怠感、食欲不振、寝汗、手足の冷え、貧血などに用いられています。また、乳児肛門周囲膿瘍の治療期間短縮・再発率低下の報告もみとめています(※1)。

十全大補湯や補中益気湯の中耳炎予防効果のメカニズムははっきりとわかっておりませんが、患者さんの免疫力を上げ、生体の恒常性維持を高めることで細菌感染の抑制やウイルス感染の抑制し、罹患頻度の減少や抗菌薬の投与期間の短縮につながるといわれています。

漢方というと、苦くて内服しづらいようなイメージもありますが、単シロップを使用したりアイスクリームと混ぜたり意外と飲める子も多いです。ただし、毎日の内服は保護者の意識によるものが高いため、お母さんたちになぜ必要なのか、どういったメリットがあるのかきちんと理解していただいて内服してもらうのがいいと思います。

※1 藤澤知雄:小児科が知っておきたい境界領域疾患―肛門周囲膿瘍.小児内科42:861-863,2010.